この記事は、「医療職の人材紹介会社の闇」をテーマにしたシリーズの4つ目の記事「4.人材会社のニーズと本来あるべき姿」です。
最初から読み進めることをおすすめします。
人材会社のニーズと本来あるべき姿
願望的な要素も含んでいますが、医療系人材紹介会社の本来あるべき姿とは何かを整理してみました。
現状、転職エージェントには、
- 求人者が求める「人材の質」を保証するような評価システムを持ち合わせていない。
- 求職者が「転職先に求める条件を全てクリアする優良求人」を紹介する事は難しい。
これが現実だと思っています。
お互い(求人者と求職者)が納得いくような完璧なマッチングのみを「成功」とした場合、転職エージェントには紹介手数料がなかなか入ってきません。
完全に納得するレベルまで調整していたら、採算が合いません。
とにかく仲介して件数を稼ぐから収益を出せます。
この事実がある以上、人材紹介会社のサービスを再定義する必要があると考えています。
転職エージェントの本来あるべき姿
転職エージェントの最大の強みは、今すぐに有資格者に営業代行できる事だと思っています。
「ホームページやハローワーク、無料の求人サイトで求人募集を出しても応募が一切ない」という悩みを持っている求人者を助ける事ができるサービスです。
「良い求人ありますよ」「紹介したい良い人材がいますよ」なんて、インチキな商売はやめるべきです。
早く仕事を探したい人に対して、早く人材を獲得したい求人者を紹介する事が転職エージェントの本来あるべき姿だと思います。
つまり、下記のような悩みを抱えている両者をつなげる事に徹底するべきです。
求人者 | 現場の人員が不足しているので、できるだけ早く人材を紹介して欲しい。 |
求職者 | 求人サイトや公共職業安定所では探せなかった。 細かい条件指定はしないから、すぐに雇ってくれるところを探して欲しい。 |
転職エージェントは、この二つのニーズに対して、できるだけスムーズにかつ、両者にトラブルが生まれないような仲介をして、その対価として年収の30%前後の成果報酬を請求するべきだと考えています。
そして、半年とか1年以内に離職した場合の返戻ルールを、働いた期間で日割計算などせずに早期離職したなら全額返戻とするべきです。
求人者に対して思う事
求人側は、急いで人材を必要としていて、人員不足を補うために尽力してくれたエージェントに対して、「紹介料が高い!」というクレームをつけるのはナンセンスです。
最初で人材紹介にかかる費用を確認しておいたにも関わらず、採用後に「年収の30%前後の成果報酬が高い!」と思うなら転職エージェントを頼らずに自力で採用すべきです。
リストの数も有限なので、全ての施設(求人者)に対して、ハイスペック人材を要求されてしまうと対応不能な事も理解する必要があります。
そもそも、医者でもなければ医療従事者でもない人に、紹介する人材の質(職業能力・専門技術などの質)を求めるのが問題です。
医療技術には「〇〇検定合格」「TOEIC〇〇点」などの定量的に評価できるものがほとんどありません。
「資格保有者で、早期離職しないであろう人を、急ぎで紹介してくれるサービス」という認識でいる事が大切だと考えます。
求職者に対して思う事
求職者は、無料でサポートしてもらう以上、細かい条件指定が難しい事や、無料であるにはそれなりの理由(ビジネルモデル)がある事を理解すべきです。
働き方や年収などで、折り合いのつかない"こだわり条件"がある場合は、その条件に合う求人を自力で探しましょう。
お目当ての施設があるなら自分で問い合わせてみるべきです。
新規営業と一緒で、断られても諦めず、何件でも何件でもアプローチして、何とか採用してくれる1件を自力で手に入れるべきです。
「今は転職する予定なし。いずれ転職は検討するかも。。。」という転職意欲の低い状態で、転職エージェントを振り回す行為も、褒められるものではありません。
「今すぐ転職したい(働きたい)けど、自力で求人を探せなかったので、細かい条件指定はしないから、すぐに私を雇ってくれるところを紹介して欲しい」というスタンスで転職サイトを使うのが望ましいスタンスだと考えます。
人材紹介会社のニーズ
例えば、
- 現在は地方在住で、今後、東京や大阪など都市部に転居予定だけど、就職先を探せないので、転居地からの通勤手段なども考慮に入れた転職先を探したい。
- 子育てが理由でブランクがあるので、ブランク有り受け入れOKで、できるだけアクセスの良いところを紹介して欲しい。
- 土日祝日が休みで完全週休二日制である事が最も重要で、その中から面談をしてみて自分に合うところに転職したい。
- 美容クリニックで、インセンティブ制度を設けているところがあれば紹介して欲しい。
こんな悩みを抱えている方には、転職エージェントによる無料紹介サービスがすごくマッチし、満足度も高いと思います。
年収は今より高くて休みが今より多く、やりたい業務だけに専念できて、人間関係が良好な、まさに天国のような夢の職場を紹介してもらえると思ってはいけません。
最後に
4つの記事で構成した「医療職の人材紹介会社の闇・問題点」について、現状のデータを紹介しました。
参考になる箇所があれば幸いです。
これらの記事について、ご意見や実際の体験談を投稿して頂けると方は、「医療職の人材紹介会社の闇・問題点」の記事下にあるコメントフォームからお願いいたします。
今後も引き続き医療業界の採用問題の改善に向けて、取り組んでまいります。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
はじめに:医療職の人材紹介会社の闇・問題点